大学4年生の時、
東京電機大学工学部建築学科・阿久井喜孝研究室に在籍した。
阿久井研究室と言えば、軍艦島調査。
建築的側面から、アプローチしていた。
初めてのコンクリート造による高層住居群。
鉄筋でなく、鉄のワイヤーが使われた。
鉄のワイヤーは、海水からの錆によって爆裂し、
コンクリートは、破壊されてしまう。
わずかな人数しか住む事が出来なかった岩の島は、
巾160m長さ480mのコンクリートの島になった。
最盛期は、5000人以上がこの島で暮らした。
その事で生まれる生活の悲喜もトレースし、
都市部でこれから行われるだろう暮らしをイメージし、
高層化される都市計画の材料とした。
そのような研究であった。
当初は、
島流しとなった犯罪者や、他国人の強制労働による炭坑の場所。
「明治日本の産業革命遺産」ということで、世界遺産。
そこで暮らした人々の光と影を正確に伝えなければならない。
この小さな島には、刑務所も、パチンコ屋も、映画館も、
なんとデートコースも。
僕の中には、観光資源という言葉には、違和感がある。
浮かれては、いけない。
ぼろぼろの建物が壊れて行く様を見せる。
そんな保存であれば良いと思う。
お金を使う事はない。
今のままで良い。
阿久井喜孝先生・滋賀秀實先生、お疲れさまでした。
阿久井喜孝の建築
東京カテドラル聖マリア大聖堂(丹下健三研究室にて、担当)
田老町国民宿舎
国立の家
御前山休暇村